人流を制するものはO2Oを制す!? ~Location Buisiness Japan2015レポート~日本独自の技術で位置情報をもっと正確に
こんにちは。O2O販促ラボ・佐藤です。
今回は趣向を変えて、最新のO2O動向を調査すべく幕張で行われていた「Location Business Japan
2015」で感じたO2O市場動向についてレポートします。
結論からですが、これからのO2Oマーケティングにおけるポイントは下記でした。
・リアル空間に商機あり!
・人流(人の流れ)を抑えろ!
※Location Business Japan 2015とは
「空間情報の活用」に焦点を当てた日本最大級のビジネスイベントです。
今年は2015年6月10~12日に幕張メッセで開催されました。O2O・オムニチャネルなど、空間情報がどのようにマーケティングに活用されているかを見ることができます。他イベントも併催でしたが、来場者は13万6千人にものぼり盛況でした !
今回は筆者が3日目に参加したセミナーを中心に注目した技術についてお届けします。
見えています。人の流れ。~位置情報の商業利用~
セミナーレポート「位置情報の商業利用 最新事例 ~リアル店舗集客のコストパーアクションの把握~」
・参考URL : https://reg.f2ff.jp/public/session/view/3226
<セミナー内容>
まず、東急電鉄さんからリクルートライフスタイルさんとの取組み「ビーコンを利用した実証実験」についての発表がありました。
実証実験の内容は、2014年8月1日から9月30日にかけて武蔵小杉エリアで約30箇所にビーコンを設置し、ビーコン反応ユーザーに対してクーポン配信するもの。
実験の目的は「人流解析と顧客分析(駅利用者および東急施設の行動ログを補足すること)」、「店舗誘導(駅利用者にクーポンを配信し、東急ストアへ送客すること)」でした。
この実験の背景としては、Bluetoothを活用した位置情報取得のマーケティングノウハウを蓄積すること、また武蔵小杉エリアの競合との競争激化や、駅利用者の行動の複雑化があったそうです。
続いて、リクルートさんからは、海外の事例を紹介したモバイルマーケティングの動向や、新宿でのジオフェンスを利用した位置測定実証実験の例、人流の可視化による効果についての発表がありました。
・参考URL(セミナー動画) : https://www.youtube.com/watch?v=Bt15WyA-mE0
ジオフェンス(Geofence)の精度向上に注目
筆者が今回のセミナーで気になったものは「ジオフェンス」でした。
ジオフェンスとはGPS(Global Positioning System)を利用した、仮想的な地理的範囲・境界のことです。ある決められた範囲を出たり、入ったりしたタイミングで、デバイスにあるアプリから、所定の動作を実施することができます。
古くは2004年からあり、スマフォのデバイス機能としてはiPhoneではios5.0(2011年)から追加されています。
真新しい技術というわけではないのですが、昨今その位置測定精度が向上されO2Oに有用な技術として活用されるのではと注目しています。
リクルートさんは、ビーコンを使った武蔵小杉エリアでの実証実験のほかに、新宿駅周辺にジオフェンスを張り、その境界を出た人に対してPush通信を仕掛けたところ、検知数はビーコンの36倍、30代女性の集客効果が17%もあったという発表をされていました。各社で様々な位置測定技術の中からよりO2O販促に適したものを探している段階にあるように感じています。
ジオフェンスを強化する準天頂衛星
現状、ジオフェンスで利用されるGPSでの位置測定はまだ誤差があり、1m内の精度を想定した場合、日本では、準天頂衛星(Quasi-Zenith
Satellite System)の利用が求められています。
GPS衛星からの位置測定には、4基以上の衛星からの信号を受信することが必要です。日本では高層ビルや山間部などがあり、利用できる衛星が3基以下になってしまう場合があります。これを解決するのが準天頂衛星です。
準天頂衛星は日本の真上を通る軌道から信号を送ることで、常に1基が良好な通信を利用できる状態になります。準天頂衛星と既存GPSの3基を加えることで、4基以上の条件を満たす状態になります。
引用 : JAXA 準天頂衛星初号機「みちびき」
2010年に1基目の準天頂衛星「みちびき」が打ち上げられました。さらに2018年、2019年ごろまでには追加で3基が打ち上げられ、4基体制で運用される予定です。その頃には、安定した高精度の位置情報サービスが利用できそうとあって、ジオフェンスにもまだ注目していきたいところです。
屋内の人流をつかめるか GPSとIMES
GPSは屋外向けの技術ですが、屋内を想定したIMES(Indoor MEssaging System)というGPSの信号を利用した測位技術も考案されています。
IMESは準天頂衛星「みちびき」を開発する過程で発案された日本独自の技術です。
・参考URL(Jaxa) : http://www.jaxa.jp/article/special/michibiki/yoshitomi_j.html
準天頂衛星などから得た信号を、屋内の中継機器を通して内外問わずシームレスな環境で位置情報を利用する仕組みです。
これにより、屋内のどの階のどの場所にいるかまで把握できるようになり、屋内ナビゲーションシステムへの利用が想定されます。
海外からの旅行者向けへの屋内、地下施設への案内や、災害時の非常口への誘導などで利用できそうですね。もちろん、建物内の位置情報がきめ細かく取得できるのでマーケティングにも活用できそうです。
・参考URL(位置情報サービスがもたらす顧客サービスの進化):https://www.nri.com/jp/event/mediaforum/2012/pdf/forum183_3.pdf
まだまだ便利になります
Location Buisiness Japan2015での展示やセミナーをみていても、様々な施策を各社ともに模索している状況がありました。
店舗集客や売上向上については、位置情報を利用すれば改善の余地はまだまだあります。これまでの経験や勘では気づかなかった「人流」が正確に把握できます。これにより、集客など実施する施策の効果が明確に確認でき、効率的な施策、投資を実施できることができます。
先に説明した武蔵小杉の例ではプッシュ通知による効果として、来店率が3.2%から21.9%に向上するなど、来店効果が7倍にアップしています。
このように位置情報を利用したマーケティングソリューションを利用する企業とそうでない企業については競争力に明らかな差がでてくるでしょう。
ジオフェンス、音波、磁気など位置情報を取得する技術はビーコン以外にもあり、今、何がトレンドの技術なのか、今後はどんな技術がいつごろ商用利用できるかを把握することも重要です。
特にジオフェンスは2018年以降に準天頂衛星の環境が整えられ、高精度な位置情報が利用できるので注目の技術となっています。
まだまだ位置情報を利用したマーケティングは進化の段階です。
これからは、駅を降りた際からお店にいる時まで、その場所に応じた粒度で商品やサービスの情報が提供され、利用者は快適な生活が送れそうです。一方、お店などサービス提供側は適切なマーケティングが実施でき、今以上の集客につなげることが可能になると思われます。
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