02.13
位置情報はO2Oの道しるべとなるか
こんにちは、今どちらにいらっしゃいますか
今回、GMOコマースO2O販促ラボの金曜記事を担当させて頂く、伊藤と申します(最近家でモルモットを飼い始めました )。普段は主にwebアプリケーションエンジニアをしています。
よろしくお願い致します。
さて。
皆さん、スマホの位置情報サービスはONにされていますか?
こちらは改めてお伝えすることでもないのですが、お手持ちのiPhoneやAndroidには位置情報サービスと呼ばれる地球上の位置情報を取得して履歴を取っていたり、アプリやO2O集客で利用したりする機能が実装されています。OFFにされている方も多いかと思われますが、昨今のO2O集客の劇的進化から切っても切り離せない機能となりそうなので、ここで夢広がる話を少しだけさせて頂けたらなぁと思います。どうぞスマホを片手にゲームなどをしつつ、お気軽にご覧ください。
そもそもスマホの「位置情報」とは何の情報でしょう
位置情報を利用した機器で最も分かりやすく、最も広く浸透し、最も強い感動を初めに与えたのはカーナビではないでしょうか。初めて訪れる知らない場所でも迷わず目的地に到達出来る、これは素晴らしい体験でした。ビバ、カーナビ。首都高さえも恐るるに足らず。
そのカーナビは基本的にGPS(Global Positioning System)を基に車体の位置を取得しています。
GPSは人工衛星の位置、距離から現在地を算出するシステムです。そのためスマホでもこの位置情報=GPSというイメージをお持ちかもしれません。しかしGPSは屋内に弱い、位置を取得するまでに時間がかかるなどの弱点もあるため、スマホではGPSと合わせて、下記のいくつかの方法で自分の居場所を確かめています。
・キャリアの基地局
スマホは通信をするため、自分の近くにあるキャリアの基地局に接続しています。その基地局は自身の位置情報を持っており、スマホはその基地局付近にいるという位置情報を取得することが出来ます。
・Wi-Fi
基地局から位置情報を取得することと似ているのですが、スマホがWi-Fiで通信している場合、そのアクセスポイントの位置からスマホの位置情報を算出する方法です。アクセスポイントの位置情報データベースはAppleやGoogleなどが構築しています。
・ビーコン
現在、O2O販促への貢献が期待され生き馬の目を抜く勢いで発展している分野です。各所に置かれたビーコンと呼ばれるごく狭い範囲しか電波が届かない端末とスマホが通信をすることによって、ビーコンの位置からスマホの位置情報を割り出す方法です。Wi-Fiと同様、ビーコンの位置を管理しておく必要があります。
スマホの「位置情報」とは、上記複数の手法を柔軟に絡めて取得された地球上の位置を指す値のことです。
この位置情報はオンラインとオフラインを結ぶ情報として、スマホやウェアラブルといった個人が携行する端末が広く広まっていくにしたがい、O2Oにとっても重要な役割を担うと考えられます。
位置情報サービスはどのような発展をするでしょう
位置情報サービスはどのような展開を見せるでしょうか。最近見聞きしたニュース、サービス、アプリを交えて、私個人の視点ではありますが、少し未来を予想してみます。
・位置情報の精度がさらに向上するだろう
引用 : https://www.indooratlas.com/
GPSは人工衛星からの電波を利用する特性上、どうしても屋内では取得しづらいという欠点があります。そのため急速に広まっているのが各所にビーコンを置いて測位するという方法なのですが、先日、下記のようなニュースがありました。
■日本経済新聞:センチ単位に突入 スマホ位置情報に高精度化の波
ビーコンとは厳密にはまた異なるアプローチで位置精度を向上させる技術のようです。
GPSと同じ周波数帯を用いているらしいのですが、対応端末が少ないため、現状では一度Bluetoothに変換してスマホで受信する、というプロセスを踏むとのこと。
宇宙開発で有名なJAXAによる開発で、既に実証テスト段階に入っている模様。
また下記のように地磁気を利用したアプローチも出てきています。
■シリコンバレーからの先端技術分析レポート:
衝撃の新技術!! WiFiではなく地磁気を利用し建物内でピンポイントに位置を特定
これらは二つともGPSのウィークポイントである屋内の位置情報を高精度でカバーする技術です。
ユーザ体験的には一般的なビーコンが広まることとそれほど相違がなさそうにも感じるのですが、どちらにせよ屋内外に関わらず位置情報の取得はより精密になっていくと考えて良さそうです。
・ウェアラブルデバイスで常時位置情報が獲得されるだろう
手元のiOS8.1では「ヘルスケア」が標準アプリで入っていました。位置情報をもとに歩いた距離や上った階段数などを記録してくれる健康維持補助アプリです。
他にも個人的に使用しているものでは、Nike+も同様に走った距離、目標達成などを管理してくれるアプリになっています。スマホを持って走っても位置情報を取得してくれるのですが、いささかポケットがかさばり邪魔に感じます。Nike+ではFUELBANDという腕時計型のウェアラブルデバイスで位置情報の取得を実現しています。体重が増加の一途を辿るさなか、個人的に今まさに欲しい一品です。
他にも衣服型、リング型、ペンダント型といったウェアラブルデバイスが盛んに発売されるようになってきました。今後もこの動きは加速され、位置情報は常時取得されるようになるものと考えられます。
今は自宅や会社などの定位置が個人情報として考えられがちですが、「今いる場所」がたとえ一過性の情報であったとしても有用な個人情報として考えられ、蓄積されるようになると考えています。
・現在地の関連情報が効果的に案内されるだろう
引用 : 株式会社カーリル 【プレスリリース】図書館でスマートフォンによる屋内位置情報を活用する実証実験を実施
先日、終電間際の時刻にレンタルショップでCDを借りようとしたところ、そのCDの場所を見つけるため、まず一人ローリング作戦で挑んだものの見つからず、検索端末で表示された棚に行ってみたところキャンペーンでCDが移動されており、今度はそのキャンペーンの棚が見つからず……と難儀したことがありました。
他には某夢の国へ車で行ったものの、夢から覚めたら車を置いた位置を忘れて、広大無辺の駐車場で立ち尽くした……という経験もあります。
それらは誰にでも起こりえるありふれた問題ですが、だからこそ位置情報は探しもの、失くしもの、防犯防止などに対して、さらなるソリューションを見せてくれると思います。
■Indigogoで資金調達中:Bluesmart(位置情報をスマホで確認出来るスーツケース)
・移動するモノ同士が出会うことを容易くするだろう
位置情報とは少し違うものかもしれませんが、使いようによっては面白いものが出来るかもしれないなと思った応用技術です。
現在最新のiOSはビーコンの受信側になれると同時に発信側となることも出来ます。
スマホにアプリを入れた人間を「歩くビーコン」として見立てることが出来るようになっています。
携帯ゲーム機で実現している「すれちがい通信」のような挙動が可能になるはずで、移動する人間に対して、移動するシステム、移動するサービス、そして移動する人間とのマッチングに利用出来るのではないか、と夢想しています。
街を歩く人同士が情報のやりとりを行い、相互のデータをやりとりするさまはAR的でもあり、自分の世界を広げるための面白いアプローチだと思います。
位置情報とO2Oの関係はどうなるでしょう
このようにかくも愉快な位置情報なのですが、多くの問題点も抱えていることも事実です。やはり自分の行動を常に監視するようなアプリがあるかもしれないと考えただけで、あまりいい気持ちにはなれません。現状、その危険性があることは忘れてはいけないことだと思います。
しかし、おそらく、JavascriptやCookie、Flashなど、webの技術が暗黙的に広く浸透し、マーケットで利用されるようになったことと同様、位置情報サービスも常時取得状態で誰も気にしなくなる日がくるのではないか――と個人的には考えています。
その時にはハードの性能、精度、バッテリー容量の向上、効率化はもちろんのこと、ソフトウェアでもセキュリティが向上されてくでしょう。
例えば、自宅付近では正確な位置情報を取得出来ない「位置情報ぼかし」のような技術が発達するのかもしれませんし、クレジットカード番号のように堅牢性に秀でた組織が一元的に管理する日がくるのかもしれません。それら技術的な進歩にも個人的に目を向けていきたいと思っています。
そのような一般への本格的な浸透を前提として、O2Oにも発展が見られるでしょう。
顧客がエリアに踏み込んだことを察知する「ジオフェンス」などのプロモーション、ビーコンなどの販促は、まだそのポイントに入った顧客をキャッチする「点のマーケティング」が始まったばかりだと思っています。
ウェアラブルデバイスが一段階進めば、点と点を結んだ「線のマーケティング」が達成されるでしょう。
まるでwebブラウザで買い物を楽しんでいる顧客の足跡を辿るかのように、現実世界の顧客の回遊率などを確認出来るようになり、「この店舗の購入者は、あちらの店舗へも足を運んでいます」というようなメッセージを腕時計型ウェアラブルデバイスで受信する機会が、そう遠くない未来にやってくると思われます。
このように、顧客の位置情報をもっとフラットに扱える時代はもう間もなく来ると思われ、「ヒトの流れ」の見える化が大きく一歩進むでしょう。
いわゆるこの「ビッグデータ」は様々な分野で解析され、利用されることと思われますが、位置情報を利用したO2Oを集客施策として取り入れたい事業者は、顧客の行き先を効果的にアシストするために、現在のSEOのようなノウハウが必須になってくると思われます。
そしてまた対面でのやりとりが増加するのであれば、位置情報の活用には、顧客の体験や安全性を害することない、オフラインならではの行き届いた配慮と知見が求められると考えます。
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